2015年 05月 03日
工房集展「Fundamental Ⅱ」-作品紹介② 杉浦篤 / 成宮咲来
【1F】




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「Untitled」







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「Untitled」






杉浦篤 Atsushi Sugiura

人を見つけると、嬉しそうに駆け寄ってきて笑顔を投げかけてくる篤さん。言葉のやりとりに期待を持っ
て関わりに来る人です。「あっ、うん」「あし(あつし)」「あいしゃ(歯医者)」など、気になる言葉を
相手に投げかける中で、どんな言葉が返ってくるのかを楽しんでいる風でもあります。たまには、伝え
たいことが上手く伝わらずに苛々としてしまうこともありますが、根気よく一生懸命に言葉を伝えてこ
ようとしている姿には人を求めてやまない心をすごく感じます。言葉のやりとりを通して“ 心地いいな”
と感じる相手は、遠くにいてもすぐに見つけてニコニコと駆けてきます。
そんな篤さんは、写真を通しても人を見ています。愛おしそうに写真を見つめている姿は、傍で見ている
と幸せそうな雰囲気が伝わってきます。人物描写だけではなく、様々な景色の写真を集めるのも大好きで
す。大好きな家族や仲間、大切な思い出の場所が写された写真を見つけると、篤さんのコレクションにい
つの間にか加わっています。少しずつ少しずつ増えてきました。
大概は、生活の中で、ホッと一息出来る夕食後の時間やのんびりと穏やかなひと時に自分の部屋で楽しそ
うに見ています。時に箱を抱えながら、時にベッドに並べて寝転がりながら、楽しそうに過ごしています。
でも、気持ちが落ち着かずソワソワしている時や、ちょっとした諍いからイライラしている時などに、
写真を見ながら、気持ちが落ち着いてくる…なんて姿もあります。篤さんにとっての写真と向き合う時間
は安心出来る大切な場面なのでしょう。
写真の気になる人物や景色を触って擦って、時には破く事を繰り返し、繰り返し…。その行為の中で、
少しずつ毎日毎日の積み重ねの過程で沢山の“ それ” が出来上がりました。篤さんにとって、“ それ” の
1枚1枚への想いは違うはずです。その時々にある気持ちの揺れや変化の違いが乗せられた“ それ” を
見つめてみて下さい。

スタッフ 小寺直人










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「さくらハート」








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「さくらハート」







成宮咲来 Sakura Narimiya

2003 年に浦和太陽の家に入所。それから8 年間、和紙作りに取り組み、牛乳パックを剥ぐ仕事を職員と一
緒に行っていた。2011 年度の午後の活動から表現活動を始め、成宮さんがもっと生き生きできる活動は何
かと考えた。成宮さんは、いつも大好きな新聞やカタログを破っては、紙の繊維が毛羽立つほど指先で揉
んでいる。これが本当に楽しそうで、落ち着くのだろうなと感じた。これを活動にしたいと思った。紙以外
のものはどうかと試行錯誤。その中でカラフルな銅線に出合う。握ってもらうと丸い銅線の塊が出来上
がった。銅線の絡み具合があまりにキレイで感動した。これが始まりだった。
作品のネーミングは、仲間、家族、職員のみんなで考え、成宮さんの指先を通しての思いと多くの人の思い
から出来上がったものだから『さくらハート』とした。そうして、作品だけでなく、グッズへと展開させ、
透明な樹脂の中にさくらハートを入れたアクセサリーを創り、『Sakura Narumiya』のブランドになった。
成宮さんは、器用に手のひらからはみ出た銅線を指先で手のひらに入れていき、丸くなるまで指先を動か
している。握るにつれ、持つ手を変えてみたり、両手を使ったりし、形を整えているかのような指使いもす
るようになった。時にはリズムを刻むように軽やかに、時には思いを込めるようにゆっくりと。
作業室を自由に歩きながら、仲間の作品を見たり、画材の本やカタログを見ている人がいると、近寄って
きて一緒に見ている。時々気に入ったものはこっそりと持ち出してしまい「咲来さん!持って行かないで~」
という声が聞こえてくる。そんなやり取りを楽しみながらさくらハートを作り、出来上がると床に落とし
て終わったことを知らせてくれる。落とした作品や銅線は仲間達も探してくれ、見つけると「あった!
あった!」とうれしそうな姿。仲間の輪の広げ役にもなっている。
2013 年「障害者アートフェスティバル」「ポコラアート全国公募」に入選したことやグッズが売れている
ことで、周りを大きく変えた。仲間達からは「咲来さんはがんばっている」という言葉が聞かれ、「何もでき
ない子」と言っていた母も、今は「太陽でがんばっていることで励まされ、家族の絆を深めてくれる大切
な存在」と心から喜んでいる。
成宮さんのことを多くの方に知ってもらい、声を掛けられることが増えた。成宮さんも自信につながっ
ている。表情が豊かになり意思表現もはっきりしてきた。よく笑いよく泣き、強くたくましくなったと思う。
『さくらハート』は成宮さんそのもの。これからも人のこころを動かしてくれるだろう!

スタッフ 五十嵐真奈美





工房集展「Fundamental Ⅱ」
KOBO SYU Exhibition[Fundamental Ⅱ]

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by mmfa | 2015-05-03 14:30 | 展示情報 | Comments(0)


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