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2016年 04月 30日
工房集展―作品紹介④ 野口敏久・箭内裕樹


野口 敏久



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 野口はゆっくりと確かめるようにひとつひとつ点を描いていきます。初期は線描でチューリップを描いていた時期が長くあり、少しずつ点を描くことに移行していきました。技法としてはよくある点描ですが、手法を彼は誰に学んだわけでもなく、ただ彼の生理的で内的な欲求によって導かれたものです。同じ班のメンバーが牛乳パックから作る厚手の紙を支持体にして、そこに太めのマーカーでさまざまな色が混ざり合う不思議な世界を作り上げていました。
 最近作では点が微妙に混ざり合い混色された色面となって新しいフォルムを生みだし、それにより画面がダイナミックに変化してきています。長い年月をかけた制作の継続と集中によって生み出される野口の画面には、単なる視覚的な密度とは違った強度があります。それは絵画の本質的な魅力を私たちに再認識させてくれます。

中津川 浩章



 グループホームから週1度家に帰るのを楽しみにしていて、「家に帰って何たべるの?」と問うと「ハンバーグ‼」または「にくっ‼」と力強く答える敏久さん。アトリエ輪に来てからのブームは、バランスボール。出勤するとバランスボールを持ち出してきて、横になってボールを抱えたり、持ったりしてリラックスしている。バランスボールの使い方が間違っているように思うが、本人はとても気に入っているようで、昼休みにもバランスボールを持ち出して同様にリラックスしている。
 作品はポスカで描く「てんてん」。最近の作品は点をつなげて描いている。空間のあった初期の頃とは違い、模様を描いている様子で、画材を時々回しながら描く視点を変えて、時に首を傾げたり、「ぐへぇへ」と笑いながら楽しんでいる。 描き方が変わってきて、何度も塗り重ねているので、画材も厚紙や、キャンバス、板など質感の違うものを本人と相談しながら大きさもその時々で変えて行なっている。「てんてん」の世界観の変化を楽しんでみてください。

スタッフ 大貫 祥太





箭内裕樹

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 ボールペンで執拗に描かれた画面を見ると線を重ねすぎてところどころ紙が破れかけています。よく見るとそこには建物や窓や人の顔のイメージがありその上からさらにまた線が描かれてそれらが塗りつぶされているのがわかります。  何故にこんなにも線を重ね重ねていかなければならないのか、画面にじっと向き合い彼の行為とその背後にある感情をたぐっていくと、人が描くことに対する切実な感情の在処につきあたります。線を重ねていくことは快楽なのか修行なのかわかりませんが、何枚も繰り返されるその行為は箭内自身にとって生きていくことに必要な行為なのでしょう。手のつぶやきから始まりいつしか境界を超え、描くことの根源に到達しています。最近では色彩が豊かに線が軽やかになって、より調和した世界を感じさせてくれます。これも環境や心の変化が作品に反映したのだと感じています。

中津川 浩章



 普段は穏やかで物静かな彼だが、誕生会やイベントごとがある時は、「よ!」と声をかけ拍手をし、一気にその場を盛り上げてくれるムードメーカーに変身。そんな箭内さんの絵画は今年から始まった。作業室に流れている音楽を聴きながら「ふ、ふふ」と鼻歌をうたいながら実に楽しそうに描いている。時には周りを気にせず一心不乱にペンを走らせている。太さが違うボールペンを使い分け、四角の箱を幾つも描いていく。そして、その箱の中にハートやマル、自分の似顔絵を描き込んでいき、最後に上下、斜めと力強く自分の気持ちを思いっきりぶつけるかのように塗りつぶしていく。最近の作品は、たくさんの顔が散りばめられ、周りにいる仲間たちを描いているよう。やわらかい筆圧の可愛らしい絵になっている。その絵をじっと目を凝らして見つめていると何か浮き出てくるようなそんな気がする。

スタッフ 赤羽幸治

by mmfa | 2016-04-30 17:00 | 展示情報


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