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2010年 04月 20日
「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭写真展 トークショー
先週17日(土)、開催中の「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭写真展
記念のトークショーが開催されました。

今展キュレーターは、写真家・須田一政氏です。コメンテーターとして、林誠治さん。
作家2名は、兵庫西宮市生まれは共通ですが、その写真は、趣も手法も異なります。

しえなたばさは、携帯のカメラを使用。
カラープリントで、生の凝縮された一瞬を表現。
撮りたいものが見つかった瞬間から撮影までのタイムラグが無いよう、
携帯は常にカメラモードになっているそう。
「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭写真展 トークショー_e0184298_1965537.jpg


寺元博昭は、白黒の美しいファインプリント。
車を撮影し、舞台の書き割のように向こう側がない、独特の世界です。
「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭写真展 トークショー_e0184298_1975633.jpg


(須田氏コメント)
感覚による写真は、続けていると定番パターンに陥るものだが、しえなさんの場合、
不思議とそうならない。稀な存在である。
もしかしたら「夕鶴」の、主人公つう(自らの羽をぬいて生地に織り込んでいった)のように、
自分をいためて撮っているのかもしれない。そんな想像が湧く。
本人は無意識かもしれないが、平和を希求する感じ、映画「アバター」のような世界観が
見える気がする。

また、寺元さんの写真は、テロリストが爆弾をしかけた後のような、不気味な静けさがある。
車と植物以外、なにもない怖さ。彼の実験精神と、『自分の写真から自分が学ぶ』姿勢の継続が、
これらのプリントに結実している。
わきめもふらず取り押さえるような、目の欲望の強さ。『撮る』ことへの執着が、きわめて強い人。

(林誠治コメント)
ふたりの写真に共通するのは、カメラを通してでないと、決して見つからなかった映像である事で、
静かな恐ろしさがある。
映像が氾濫する今日だが、『撮る価値のある写真を撮る』という事を、意識して撮っている人が
何パーセントいるだろうか。
飼いならされたペットじゃない、お約束事でない写真が、二人にある。
繰り返し観たくなる写真である。
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下の写真は、トークショーの様子。
「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭写真展 トークショー_e0184298_11304817.jpg

写真について、真摯な意見が交わされた会でした。

「ホルモン」しえなたばさ 「未来指向」寺元博昭写真展は、
4月27日(火)まで。

by mmfa | 2010-04-20 19:24 | 展示情報


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